2017年12月22日

アメリカ由来の大浅利

アメリカ由来の大浅利

 江戸っ子にとって、春の潮干狩りはきわめて大切な行事だった。
 東京湾がきれいな海だった時代、稲毛から幕張あたりの遠浅の海に江戸っ子はむらがって、浅利や蛤を採っていた。引き潮の2.3時間が勝負で、潮が充ちてくると三々五々浜に引き上げ、漁師小屋で酒蒸しや、天ぷらにして楽しんだ。
 戦前も戦中もあれほど綺麗な海だったのに、知らぬ間に東京湾は汚い海にかわってしまった。

 東京湾は何時の頃からか綺麗な海をとりもどしたが、在来種の蛤はずっと小さくなり、浅利の漁獲量も激減した。浅利を主役にした深川丼も貧弱なみすぼらしい丼となり、喜代村あたりが復活を見込んで養殖の大浅利を投入するようになって始めて深川丼の明日が見えてきた。

 在来種の貝が滅亡の路をたどるなか、1998年幕張の人工海岸で発見されたのが、「ホンビノス貝」アメリカの貝だった。1999年には京浜運河で、2000年には千葉港でと、ホンビノス貝がぞくぞくと発見されるようになった。聞けばアメリカ東海岸では、食用として歓迎されているという。ワイン蒸しに、クラムチャウダーに、ロードアイランドでは州の貝に指定され、晴れがましい貝だということがわかってきた。

 2012年に800dしか採れなかったのが、2016年には2500dとなり、浅利の海はホンビノスの海にかわった。爆発的な繁殖力をもつこの貝を、いつまでも放置しておくのは勿体ない、とこのほど千葉県が、ブラント水産物として大々的に販売宣伝していくことになった。

 深川丼プレミアムとして、大浅利に擬せられたホンビノス丼が登場するのにそんなに時間はかからないだろう。東京駅、品川駅、そして深川櫓下のあたり、近頃立派な浅利めしが噂になるのは間違いない。
posted by Kazuhiko Hoshino at 15:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする