2019年05月20日

牛若丸と娘道成寺

団菊祭.jpg

 久しぶりに気分のいい團菊祭だった。
 菊五郎、吉右衛門を柱に、左團次、歌六、雀右衛門、又五郎、時蔵、團蔵、秀調らが控え、人気の菊之助、海老蔵、松也らによって賑わいをつくっていた。

 平成から令和への御代替わりにふさわしく、菊之助さんの長男七代目尾上丑之助さんの初舞台もあってますますの盛り上がり。
 かって菊之助さんが初舞台のおり、小説家の村上元三さんに「君はなにかなりたいものはあるのかね」と問われ「牛若丸になりたい」と答えたところ、それでは牛若丸になる脚本を書いてあげる、といって書き下ろしてくれたのが、「絵本牛若丸」。更にその芝居を息子の丑之助が初舞台で演じるという親子二代の芸の継承がほほえましかった。

 圧巻は菊之助の「京鹿子娘道成寺」、歌右衛門、梅幸、藤十郎、玉三郎と多くの道成寺をみてきたが、菊之助のこんかいの踊りはマイ・ベストにはいる。
 金の烏帽子をつけた花子、手毬をつきながらの娘らしい初々しさ、振出し笠を手にした花子、花笠おどりの所化たちも軽やかに、手拭にたくした娘心の切なさ、鞨鼓をつけての撥さばき、鈴太鼓の艶やかさから次第に妖しさをおびて鐘のなかに飛び込むまで、清姫の怨霊が乗り移ったかのような凄さがあった。

 松也の御所五郎蔵も、人気の二枚目ぶりがかっこよく次の世代を感じさせてくれた。が一本気の侠客と花魁の愛想尽かしのドラマの綾が難しく、どうしても若さがでてしまう。
 黙阿弥の七五調のセリフは聞かせどころが多く、フォルテの発声になると言葉がとんでききずらいのは、明日の看板としてはなんとしても解決して欲しいところだ。
 のびしろの多い松也に團菊祭のトリを任せたあたり、松竹としてはなかなか味のある興行だった。
posted by Kazuhiko Hoshino at 15:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする