2019年07月23日

雑貨屋になった本屋の店頭

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 「マルチメディア」という言葉について、まんま受け取り、そのように使用していたが、どうやらその解釈は違っていたようだ。
 出版界では、「印刷物+すべての商品群=マルチメディア」 と呼んでいるようだ。昔風にいえば、付録大作戦なのだが、いまは付録の域を超えて、出版から流通、小売をふくめてマルチメディアと呼び、ビジネスを展開している。

 出版・編集の世界に憧れて業界に入ったにもかかわらず、今は全く関係ない仕入れの仕事に日々追われています、という声を始めてきいてからもう15年程も経っている。
 本は売れなくなる、本の時代は去った、といちはやく認識した経営者が打った次の手がこのマルチメディアと呼ぶ戦略だった。 少なくなったとはいえ全国に1万2000店ある本屋を活用しないわけにはいかない。本屋には棚というディスプレイ道具があり、平置きのための販売台も必ずある。そのうえ本屋のある場所は、学校の近所だったり、通勤の行き帰りに立ち寄りやすい至便の場所だったり、商売のアクセスポイントとして恵まれている。
 全国2800店の家電量販店の5倍もある本屋ネットワークを生かさない方法はない、と決断した。

 以来本屋の棚には、バック、かご、低反発マクラ、快眠めがね、美顔ローラー、シャボン、香水、アクセサリー、マルチポーチ、アイ・マッサージャ、カラー万年筆、入浴タオル、パスポート入れ、腹巻、痩せるソックス、ルーペメガネ、Tシャツ、巻きスカート、ベルト、などなんでもありのマルチメディア本が所狭しと置かれるようになった。

 が問題はすべてのマルチメディア本が、A4判のケースに収まらなければならない。はみ出すと流通にのらない。編集ガール達は日夜商品を如何にしてA4版に収めるか悪戦苦闘が続く。飛びついた本屋は、マルチメディア本によって雑貨屋になった。なんでもいいから売れればいいという、本屋の知性は吹っ飛ばしてしまったのが、マルチメディア本に頼った大手の出版社だ。

 マルチメディアとは、女の欲望に竿さした雑貨のことをいう。
                         (レイワ悪魔の辞典)より
posted by Kazuhiko Hoshino at 12:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする