2019年10月09日

人気の「廃業おくりびと」

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 かって創立50年のとし、100に近いブランドのアイランドを創り、センターに映像によるファッション・タワーを構成し、さらにファッション・シアターをつくってイベント化した、あのオンワードが危ないという情報に接した。サンローランを頂点にビジネス・スーツからゴルフウェアまであらゆる衣料をブランド展開していた巨人に落日がおとずれているのだ。
 前世紀末といってもほんの20年ほど前だが、ユニクロを初めとするストリート・ファッションが登場してきた時、いち早く市場変化に反応できなかったことが原因だろう。
 1970年代から数々のビッグプロジェクトを制作・演出してきたが、カネボウも、オンワードも、レナウンもみな崖っぷちにたっている。あのゾゾタウンですら明日倒産しても不思議ではない。友人の息子さんは、オンワードをやめてどこかのIT企業に転じると聞こえてきた。

 長野の真ん中ではアゲインが倒産し、年末には権堂のイトーヨーカドーも閉めるという。駅前の平安堂も消えて、ドンキホーテのネオンが図々しく輝いている。ついこの間の長野オリンピックの痕跡すらない。もはや都市の中核風景が変わってしまうのだ。

 会社が、中小企業が、商店が、人知れず消えていく。
 去年は46.000件の中小企業が廃業に追い込まれた。これからの一年、廃業・倒産の危機にあるのは310.000社と予測されている。日本列島はいまや廃業列島であり、大倒産列島になっている。

 人口が減り続け、もはや家業が維持できないという中小企業だらけ。後継不足、地域経済低下、地盤沈下を前にしても、現実はラクビー熱狂、オリンピック万歳、今日はサッカー、明日は野球、の声にかき消され、真実は見えない。先進国が植民地支配のもっとも有効な武器はスポーツであると、喝破した意味がよくわかる。

 従業員に迷惑をかけず、取引先にも争うことなく、銀行の理解をえて廃業するために、いま多忙をきわめているのが「廃業おくりびと」なる職業。円満な自己破産のため、いい終わり方をするにはどうしたいいか、藁をもつかむ思いで「廃業おくりびと」のもとに駆け込むという。
posted by Kazuhiko Hoshino at 16:11| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする