2020年01月16日

まさか、あのシャノアールが…

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 荒涼たる焼跡にポツン、ポツンとできたのが、喫茶店だった。
 住宅事情が極端にわるく、人々はようやく小さな喫茶店という空間を手にいれた。あの頃の喫茶店は町の社交場であり、仕事の打合せもほとんどが喫茶店だった。
 うんちくをきかされながらネル越しのコーヒーをいただき、ついでに文学論や歴史論もついてきて喫茶店というのは、インテリ夫婦の起業によるビジネスだった。
 寺山修司と初めてあったのは、阿佐ヶ谷の喫茶店だったし、横尾忠則さんとあったのは新宿の武蔵野茶廊だった。一杯のコーヒーでポスターの依頼をし、一杯のコーヒーでポスターを受け取った。
 そのうち300人も入るうたごえ喫茶やレコードを聴かせる名曲喫茶ができ、大型化していった。

 シャノアールは、コーヒーだけでなくパスタやサンドウィッチもあり、ゆっくり時間をつぶせる喫茶チェーンだったが、とうとう倒産してロングリーチグループに買収された。
 昔ながらの町の喫茶店もはじからつぶれていく。
 総務省統計局のデータによれば、1981年のピーク時に15万4630店あった喫茶店は下降の一途を辿り、2016年には6万7198店と半減し、現在では5万店を辛うじて維持している状況ではないかといわれている。

 スタバやドトールなどセルフサービス型のカフェに押されたのは、価格の違いが大きいといわれているが、ライフスタイルの変化により、古い喫茶店にありがちの密閉型の空間より、開放型の空間がこのまれるようになり、なによりも喫茶店でのコミュニケーションがわずらわしくなった現代人の孤独な環境に原因があるように思われる。
 シャノアールがなくなり、セブンイレブンの立飲みが、人生の空白をうめてくれるのだろうか。

posted by Kazuhiko Hoshino at 15:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする