2020年05月15日

神馬堂と葵家やきもち、上賀茂名物はどっち?

やきもち神馬堂.jpg

 京都人よりも古く京都に住んでいた人のことを賀茂人という。その賀茂一族の氏神様が上賀茂、下鴨の二つの神社である。
 山城の国一之宮が世界遺産上賀茂神社という次第。そして上賀茂神社大鳥居の前に頑張っているのが、葵餅通称やきもちをつくっている二軒のやきもちやさんである。
どちらが本家というわけではないが、大鳥居に向かって右側にある葵家やきもち総本舗と左側にある神馬堂は、それぞれにきわだって特徴がある。

 左側の神馬堂はいわゆるクラシック・スタイル、厚い鉄板のうえで九つほどのやきもちをじっくり焼き上げて、並んだ客に順番に竹の皮につつんでわたしていた。
 早朝から客はならんで、ひとつひとつじっくりと焼くおばあちゃんの手元を見ながら、日がな文句も言わずもちの焼きあがるのを待っていた。
 神馬堂の客は気長でなけばならなかった。

 向かいの葵家やきもち総本舗は客を待たせなかった。観光バスから降りてきた客が押し寄せると、手際よくビニールに包まれたやきもちの箱詰めをわたしていた。
 包装紙も平安時代の御所車をあしらったいかにも京都のお土産風、当然のごとく駅のお土産売り場でも、デパートの京都催事でも「やきもち」といえば、葵家のやきもちが並んでいる。

 神馬堂のやきもちは日持ちがしない。焼き上げたその日のうちに召し上がってください、という今時信じられないほどの脚の短さ。
 焼き上げたやきもちを受け取って宿に持ち帰ったころ、ちょうど荒熱がとれて実に美味しい。丹波の粒あんと餅のバランスも良く、品のいい甘さと素朴で懐かしい味わいが口中を充たす。
 グレイの神馬のかたちに赤の鐙の神馬の包み紙も懐かしく、上賀茂神社の神馬舎のとなりにあったという歴史も語ってくれる。
 自在の鉄瓶がちんちんと湧くかたわらでやきもちを焼いていたおばあちゃんは旅立ってしまったが、いまでもたまに神馬堂の名にふれると、その後の神馬堂の「やきもち」が気になる。


posted by Kazuhiko Hoshino at 22:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする