2020年05月28日

美々卯と山本屋

美々卯うどんすき.jpg

 東京近辺にある「うどんすき美々卯」が一斉に閉店することになった。
 コロナのせいか、やっぱり関東は蕎麦なのか、いろいろと詮議されているが、香川のシンプルなうどん以外では圧倒的な人気を誇ってきた。

 半世紀前、初めて大阪で演出の仕事に呼ばれ、美々卯につれてってくれるならと条件をだしたら、お安い御用とばかり淀屋橋の本店に連れていかれた。
 いかにも大阪風な気風のいい仲居さんが、大きな真鍮の打ちだし鍋に次々と材料を入れる。
 出汁は利尻の昆布と土佐清水のメジカ、仕上げに宗太鰹の削りかけ、そして車海老、蛤、鶏、椎茸、子芋、白菜、湯葉、ええものいっぱい入れるから美味しくなると、関西弁のウンチクを聞きながら饂飩にたどりついた。

 もう一軒わざわざ饂飩にありつきたくて通ったのは「名古屋の山本屋」。
 あの頃東海道線をいっぽん見送って名古屋に途中下車、駅の地下にあった山本屋の味噌煮込みうどんに駆け込んだ。
 赤味噌と白味噌にザラメを加えた山本屋の味味噌がなんとも嬉しく、ぐずぐずと煮立った出し汁が伊賀の土鍋で登場すると全身がときめいた。
 シコシコとした張りのある生めんに蒲鉾とねぎと玉子の乗ったシンプルな組立と、名古屋ならではの味噌の奥行が忘れられない旨味をつくっている。
 次の列車に乗った東京まで、味噌煮込みのシアワセで帰ってきた。

 香川のうどん、あつあつ、あつひや、ひやあつ、ひやひや、といったうどんそのものを食べる作法を覚えたのは、高齢者になってからのことである。

posted by Kazuhiko Hoshino at 17:49| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする