2020年10月10日

リスの根性・マンハッタンと軽井沢

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 30年程前、ニューヨーク・マンハッタン島の北端にある公園、フォート・トライオン・パークを訪れたことがあった。
 観光客はほとんど行かない静かなハドソン川を見下ろす丘にあったその公園には、メトロポリタン美術館の別館が、中世ヨーロッパの大修道院を模したクロイスターズのなかにあった。その教会では度々コンサートが催されていた。
 現在ワシントン・チャンバー・オーケストラの指揮をしている三本雅俊さんに誘われ、ブロードウェイ観劇をやすんでの半日行だった。そこはニューヨークとは思えないほど静悉な自然にかこまれていた。
 クロイスターが開く前の早朝、広い庭のあちこちにリスが遊んでいた。フォート・トライオンのリス達は驚くほど人間に慣れていて近かずいても逃げない。僕らの歩みに合わせて横を走っていくといった風情だつた。
 本来リスという動物はとても警戒心が強く、人間には馴染まない動物ときいていたので、あのマンハッタンに住み着きながら人間を警戒しないリスの存在に驚いた。

 その頃、軽井沢の我が家にも毎朝リスがやつてきた。いつしかリスのくる雑木の棚にクルミをおいておくのが日課になった。軽井沢のリス達はこちらの姿を見るや否やクルミを抱えて姿を消す。彼らの好物たるクルミを毎日おいてくれるご主人様への敬意がまったくない。
 マンハッタンのリスに比べ、なんと根性の腐っていることか。
 向かいの森に何軒かの別荘が建つにおよび、いつしか薄情なリス達の姿も見なくなってしまった。何処かの森に住まいを移し、人間に愛情を持つことなく人のくれるクルミだけを信じ、人間を疑って暮らしているのだろう。
 リスは身に危険が迫った時、自ら尻尾を切り落として逃げるときいた。そしてその尻尾は二度と生まれ変わらない、そんな自虐的な一生を送っている。 尻尾を失ったリスは、カワイイという魅力も永遠に失うのだ。
posted by Kazuhiko Hoshino at 12:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする