2020年11月01日

エーゲ海の反乱

エーゲ海に捧ぐ音楽.jpg

 白壁の家、白い教会、白い十字架、白い坂道、白いヨット、青い海、青い空、穏やかでロマンティックな情景、……
 エーゲ海のイメージである。ポールモーリアはエーゲ海を真珠に例えた。モリコーネはエーゲ海にエロティシズムを聴いた。

 ギリシャの片田舎からローマにでてきた画学生ニコスは、同じ下宿にいた姉のエルダに恋し、お互いの恋人を棄てて一緒になるが、いつか有名画廊の娘アニタをしり、愛欲に溺れる。…ニコスはエルダの妹リーザとアニタ、それに美しいカメラマンのグロリアを連れてエーゲ海に向かう。
 エーゲ海での日々は夢のような愛にみちた時間だったが、愛欲のはてにリーザの銃弾に人生を閉じる。 言葉もなく見守っていたのはどこまでも深く青い空とエーゲ海だった。 池田満壽夫の芥川賞作品「エーゲ海に捧ぐ」である。

 すぐる夏、エーゲ海のクルーズに誘われたことがあった。ヨットで過ごすエーゲ海といえば、アバンチュールの日々がついてくる。
若さの終着にエーゲ海をめざすのは生きる証し、応じられない男ほど情けないものはなかった。

 あのエーゲ海にマグニチュード7.0の地震がおきた。沿岸には津波が押寄せ、多くの犠牲者をだしていると報道されている。
 エーゲ海の真珠はどこへいってしまったのか。コロナの再拡大とエーゲ海の津波など、ついこのあいだまで夢のまた夢だった。
 人類はどこかでとんでもない間違いを侵してしまったのだろうか。

 
posted by Kazuhiko Hoshino at 13:38| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする