
アメリカ大統領選挙を日本の大統領選挙のごとく連日賑やかに報道していたのは、この国のメディアだった。結果は民主党のバイデン候補が勝利をおさめたが、トランプの振舞いはなんとも後味のわるい印象を残した。
実はまったく関係ないようなものだが、コロナ対策に於けるトランプの態度やメキシコとの壁や黒人運動にたいするトランプのリアクションが、国民の一部から毛嫌いされ敗戦の原因をつくった。
イスラエルとアラブの和平調停や、中国封じ込めについて歴代大統領が手をこまねいていた難問をつぎつぎと解決したのはトランプ大統領の功績だったが、ときたま見せる大統領の下品なふるまいが、エリート層からきらわれたのはたしかだ。
それにしても今回の選挙であきらかになったのは、アメリカ主要メディアのでたらめな報道だった。
とくにニューヨーク・タイムス、CNN、ワシントン・ポストなどの報道ぶりは眼をおおうばかり、黒人の支持を失い、ヒスパニックの支持も失ったトランプは、決定的な敗北を喫するだろう、という連日に及ぶ予想報道は全くの出たらめだった。蓋を開けてみれば、トランプは初当選時より、黒人層からもヒスパニック層からも票を伸ばしていた。BLMの運動についても、トランプの作為的発言とされていたFOXニュースのほうがよりファクトに近かったということだ。
にもかかわらずバイデンに負けたトランプは、目の前のコロナの影響を読み違えた。トランプはコロナに対し絶えず中国の原罪ととらえ対応していたが、国民にとってはそんなことより、目の前の巨大な感染症にたいして、という現実のほうが優先していたということではなかったか。
そのことは日本での現実をみてもよく判る。もはや国民は中国の身勝手な対策から発生した巨大な感染症という視点を忘れかけている。
朝日、毎日、共同を中心にした日本の主要メディアと同じく、ニューヨーク・タイムスもワイントン・タイムスもCNNも中立を失った運動報道にかわっているという事実を学んだのが、トランプ大統領の4年間だった。