2017年03月14日

さようなら、A5ランクの牛達

さようなら、A5ランクの牛達

 「肉はA5に限る」誰が言い出したのか知らないが、最近この表現に反発する勢力がでてきた。
 「A5の肉はいらない。脂過剰で決してうまい肉ではない。うちではA4等級以下で充分美味いすき焼きを提供します」宣言したのが、明治13年から雷門に店を構えるすき焼きの名店「ちんや」の社長である。

 「ちんや」は、東京風な割下でたくすき焼きで、値段ばかりが高いA5ランク信仰に我慢ならなかったのだろう。戦前は美味い肉は赤身だった。ヒレ肉の中心にあるシャトーブリアンは、ヨーロッパでも日本でも、香り、旨み、食感で最高とされてきたのだが、何時の頃からかサシばかりが過剰に入ったA5肉に人気が集まるようになった。
 食肉業者の戦略だったのだろうが、「当店の肉はA5ランクの最高級○○牛」と書きだした食堂・レストランだらけとなり、調理の腕も棚上げの宣伝合戦となった。

 「ちんや」では、霜降り肉といわず「適サシ肉」と表示するようになった。
 脂肪の量は4等級(そのほうが身体にもいい)で、なによりも脂肪の溶け方がよく、赤身の旨みと脂の甘みのバランスがとてもいい。香りも立ち、胃もたれもしない、いいとこずくめなのだ。
 サシの入り方が細い小サシと言われる状態は、加熱するとサシと赤身の境界から「和牛香」と言われる香りがでて、なんとも美味そうな食欲を促進する香りにみたされるという。時の流れとはいえ、バブリーなキャッチに踊らされ、脂身だらけの肉を食してきた我々自身の食に対する意識が問われている。

 「ちんや」では肉の適正化とともに、溶き卵の改良も発表している。
 名匠小津安二郎が好んだカレーオイル入りの卵と、酸味を加えたヨーグルト入り卵の二種である。
 溶き卵の革命と「ちんや」は云っているが、いずれの折に試食してみたい。
posted by Kazuhiko Hoshino at 17:20| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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