2017年08月10日

名物に美味いものあり

名物に美味いものあり

 "名物に美味いものなし"と言われるが、昔から美味かったというものもある。
何故そこにそんな名物かあるのか、まつたく不思議だが、これは甲府の名物よ、といって出されたのが、「アワビの煮貝」だった。富士山の裏側の甲府に海はない。海なし県の真ん中、甲府の名物が「アワビの煮貝」とはシャレがきついと思ったが、のちに煮貝のルーツを読み解いて納得した。
伊豆下田の網元が特産のアワビを醤油漬に加工し樽漬にしたものを、馬で甲州まで商いにいったところ、下田の地元より数倍美味くなっていた。馬の背にゆられて数日たった煮アワビは、生アワビの5倍ものグルタミン酸がでて、風味も舌ざわりも抜群に良くなっていたのだ。
 煮アワビは下田ではなく、甲府でこその名物になると、みな与6代目が気ずいて甲州名物が誕生したということだ。

 最近では全国どこにいってもあるが、30年位前までは京都でしか食べられなかった名物に、「にしん蕎麦」がある。四条河原町の芝居茶屋松葉の二代目松野与三吉が明治15年に考案したものだそうだ。それまで遠くから運ばれてきていた、みがきにしんの棒煮が高級珍味として芝居帰りの座敷に人気があった。
 これをつゆ蕎麦にいれてみたらどうか、と思いつき工夫の末に生まれたのが「にしん蕎麦」だと伝えられる。日高昆布の出汁つゆににしんの旨みが加わった総本家松葉のにしん蕎麦は、無敵の美味さである。冬京都に行った折には、松葉のにしん蕎麦用に作られたにしんを求め、山国でゆでたつゆ蕎麦に入れて食べても至福の味が幸せをもたらす。

 信州はそばが美味いという俗説に流されて、長野にきたらとりあえず蕎麦やにはいるという観光客がいる。
 長野でも蕎麦やはいろいろでピンキリ、願わくば美味い蕎麦を食べて帰ってほしいと念じるが、駅前の適当なソバや、宣伝だけが上手で、肝心な蕎麦のほうは褒めたくない味の蕎麦や等で、盆休みに軽井沢へ行ったからお蕎麦をたべてきたの、などと後の電話にせっするとガッカリする。
 故郷を貶められたような気分になる。
posted by Kazuhiko Hoshino at 12:15| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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