2017年11月17日

平等院の赤をめざして

平等院の赤をめざして

 源氏物語の主人公である光源氏の別荘をめざす。
 京都駅から竹田街道を南へ。秀吉が本拠とした伏見の地酒蔵をよこめに、やがて御香宮をたどる、御香宮は病を治癒してくれる聖水の湧く処であるとともに、安産の守り神である。
 京都には安産守りの社がもう一つある。洛北のわら天神だ。ここの護符には藁の一本が入っていて、その藁に節があったら男の子、節がなかったら女の子が生まれるという信仰があり、京都の古い町家のお嫁さんは妊娠するとお姑さんから、すぐわら天神においきやす、と命じられたと云われる。

 御香宮をすぎるとまもなく宇治川にぶつかる。琵琶湖に端を発している宇治川だが、どことなく表情が違う。流れのさまがとても優雅なのだ。右へ左へと蛇行するが、堤防よこに並んだ古い屋敷の屋根が歴史をふくんでただならぬ風情をまきちらす。
 やがて日本三大名橋のひとつ宇治橋にたどり着く。橋の周りの商家はみな古く、みやびな空気が漂う。

 8時28分宇治平等院の南門についた。すでに200人ほどの修学旅行生が並んでいる。正面入口にまわって入場券を購入、めざす目的は平等院鳳凰堂……。 
 光源氏のモデルだったと伝えられる源 融が別荘として建てたものを、藤原道長の手にわたり、子の頼通が寺院に改めたと伝えられる世界遺産の建築物である。
 来年5月のパリ展において、日本のイメージの10数点に赤のイメージがなく、フランス人の大好きな赤のイメージのための撮影行だった。
 モンマルトルの赤い風車に始まったパリとの付き合いを、宇治平等院の赤い鳳凰堂で完結させることができたらという思いでもある。西方浄土の楽園を模したと伝えられる鳳凰堂は、密度の高い日本一の赤の桃源郷でもあった。

 極楽浄土への往生を願った日本人の祈りのイメージがそこにあった。鳳凰が翼をひろげ、今まさに飛び立とうとしているその瞬間が見事に具象化されている。
 定規とコンパスの現代建築を超えた、精神性にみちた朱の建築が、目の前にあった。
posted by Kazuhiko Hoshino at 12:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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