2018年04月02日

幸せの花見の屋形舟

幸せの花見の屋形舟

 「江戸いちばんの舟遊びにお出掛けになりませんか」こんな誘惑にはとても勝てない。
 江戸いちばんの屋形船「北斎」で、隅田堤のお花見を楽しもうという、とびきりのお招きだ。春の屋形舟で花見をしたのはもう40年も前のこと、戦後のどぶ川からようやく抜けだして大川の昔をとりもどそうと下町の人々が努力を重ねている頃だったような気がする。
 ふだんお世話になっている大伝馬町瓢月堂の当主石寺真澄さんからのお誘いだ。石寺さんには、芝居好き、花火好き、桜好き、そのうえ旅好きと、気っぷのいい江戸っ子の血が流れている。本郷までは江戸のうち、で生まれ育った筆者にとってもなによりの友人、といっては若い女性に失礼だが、元気でお洒落なレディなのだ。

 屋形舟北斎は大きさいちばん、この船を最後に大きい和船を造れる造船所が潰れてしまった、という曰くつきの船だ。江戸末期からの最古の船宿冨士見が、運営している。
 この日、深川「釣船橋」のたもとに集まった101人、桧山会長と石寺女親分のもと、花曇りとようやく暖かさを取り戻した川風に包まれて北斎に乗り込んだ。当然だが「北斎」は北斎だらけ、「凱風快晴」に迎えられ、「神奈川沖浪裏」のインテリアに、4つのウォシュレット付き水洗トイレのドアには、「北斎漫画」の男女が描かれて、船内天井にはボーズのスピーカーがいくつも埋め込まれていた。

 舟は豊洲運河から隅田川へ。ゆったりとした揺れも心地よく芭蕉旅立ちの像を遠くに、相撲力士のレリーフをくぐり、やがて駒形、吾妻橋と墨堤永代常夜灯へと、流れを逆らった。
 1000メートルにも及ぶ赤提灯が桜とともに迎えてくれた。屋形舟は桜橋の手前、さくらの園の真ん中に泊まり、乾杯となった。寿司や刺身は先に食え、肉はゆっくりと後で、天婦羅はつぎつぎと揚がった順にサービスするのでそのつもりでと、女船頭頭の元気なこと。宴席を盛り上げてくれたのは、ジャズ、カンツォーネ、シャンソン、そしてJポップから歌謡曲の5人の歌い手と、司会をボランティアした音楽評論家の島 敏光さんだった。
 最後は全員で「川の流れ」を唄い、三本締めで「幸せの花見の屋形舟」は終わった。
 お土産は奈良の名酒「春鹿」だった。  桜のラベルが嬉しい。


posted by Kazuhiko Hoshino at 23:07| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
屋形船でも随分お仕事頂いていましたが
こんな由緒正しいお船が存在したとは!
最後に乗ったのはオーガナイザーのユダヤ系フランス人の知り合いが和装での神社での式を挙げて
一軒家の料亭での披露宴後
聞かされていなかった屋形船での披露宴で
お開きになるものと思って意地汚く萬壽を飲みまくって
へべれけの状態で乗船したのでした。
クリスマスイブだったかな?
帰りはどうやって帰ってきたのか記憶に無いほどたらふく高級なお酒を呑みまくりました。
桜の時期の屋形船も風情がありますね
いつも素敵なお遊びをご教授いただき
勉強になります、
楽しみにしております。
Posted by ふくだ かよ at 2018年04月03日 14:26
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