2018年10月17日

柳とかつらの銀座戦争

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 銀座の柳がとうとうカツラに敗れた。
 銀座の並木といえば見たことのない人でも「ヤナギ」と答えるほど、ぎんざと柳の仲は濃密な間柄だったのだが、オリンピック2020に向けて、銀座通りにはいま着々と「かつら」の木が植えられつつある。「巴里のマロニエ・銀座の柳」と謳われた柳ともお別れである。

 銀座うれしや柳が招く / 招く昭和の人通り/ 誰を待つやらあの子の肩を/ 撫でてやさしい糸柳……半世紀に渡って歌い継がれてきた唄は、四谷文子に始まり、初代コロムビア・ローズ、島倉千代子と受け継がれ、全国何百の銀座通りでそれぞれのご当地シンガーによって歌い継がれ今日を迎えている。
 地方の駅前銀座には並木をわざわざ柳に変えて町ずくりをしたところすらあるという、それほど柳のイメージの強い銀座だったが、「かつらの木」には勝てなかった。

 柳の木は成長するに従って枝がたれさがってきて邪魔になる。それを風情ととらえないで邪魔ととらえるのが近頃の価値観のようだ。撫でてやさしい糸柳などと受け取る感性はまったくない。邪魔といわれては柳もさぞ悲しいことだろう。
 さらに追討ちをかけたのは、野暮な建築法の規制だ。車道側では地上4.5メートル、歩道では高さ2.5メートルという規制があり、かなり短く剪定しないとみとめられないというのだ。そよぐ柳の枝の美しさなどといっても問答無用。相変わらずの役人の脳みそだが、銀座の象徴として年月を紡いできた柳もバッサリと切られてしまった。

 カツラに決まったポイントは、他の通りにないこと、日本原産であること、葉っぱのかたちがハート型で洋風な銀座にふさわしく、若い女の子には絶対受けるといったヨコシマな点、更にもっといえば桂は高木にして落葉樹なので、クリスマスのイルミネーションに絶対有利という、なかなかのプロモーション魂である。枝に電線を巻き付けやすい、とはなんともクチアングリの桂の並木道である。
 かって自動車の排気ガスに強いからと植えられてシャリンバイは低木で銀座の人々からは嫌われ、散々だった例もある。明治からたびたび復活してきた柳も、クリスマスの電飾に勝てずとうとうご臨終を迎えた。 これからはカツラの木に頑張っていただくしかなかろう。
posted by Kazuhiko Hoshino at 22:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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