
今年は松茸の当たり年と喧伝されているので、早速信州別所平の松茸山へいった。
松茸シーズンだけの小屋掛けにもかかわらず、ちかごろでは立派なトイレができていたり、駐車場が整備されていたりと、だいぶ贅沢な山小屋になった。
松茸の初物が市場にでていくらの値段がついた、とテレビで報道されるぐらいだったが、今年は同時にテレビ・コマーシャルが登場したり、新聞に広告がのって、松茸小屋の経営もずいぶん多角化したものと感心したり、あきれたりした。
たかがシーズンだけの松茸小屋の客寄せに、テレビなどという高額メディアを使っては採算倒れになるのではないかとも思うが、テレビで知った観光客が大挙押寄せ「いつまで待たせるのか」と山小屋の入口で騒いでいた。
見晴台の松茸小屋は、イステーブルのビニール小屋二つと、ゴザ座布団のビニール小屋が一つあって収容能力は100人楽勝なのだが、仲居さんがみなアルバイトのお姉さん、または小母さん、そして厨房は3人ほどのこれまたニワカ・シェフ、お会計のおばあちゃんは、眼が遠くレジスターがうまくあつかえない。
店長のおばちゃんがいくら頑張っても、無理無理無理の狂騒曲なのだ。
松茸鍋に始まり、松茸土瓶蒸し、松茸天ぷら、松茸茶碗蒸し、松茸姿焼き、松茸みそ汁、松茸ご飯と、松茸豊作の恩恵にあずかり、至福の時間は天候にも恵まれた。今年の秋はこれで満足。
困ったのはカメムシ、陽当たりのいい小屋の隅に案内されたので、そこはカメムシの集合場所だった。良いカメムシは野菜について害虫を捕食してくれるが、悪いカメムシは人について臭いを発する。カメムシは屁こき虫とも呼ばれて軽蔑され嫌われている。幸い同伴者に冷静なカメムシ・ハンターがいておおいに助かった。
東南アジアには人面カメムシなどと呼ばれているカメムシもいて、模様の面白さからペンダントに加工され、お土産物になっているお洒落な奴もいる。