2019年01月22日

舌代つきのご飯の友

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 御飯の友といえば戦争中は、熊本の「ふりかけ」と決まっていた。
 ふりかけは、カルシゥムの不足を補うために、薬剤師の吉丸末吉というひとが作ったもので、魚の骨をくだいて御飯に合うように工夫したものと教えられた。
 江戸っ子は上野池之端の酒悦がご贔屓だった。病気で伏せているときは、おかゆに酒悦ののりの佃煮がそえられていた。元気になると同じ酒悦の「鯛みそ」に変わった。中学生になった頃、「あさりの時雨煮」を食し、酒悦にはこんな美味いものもあったのかと感動した。

 カレーの友も酒悦の「福神漬」と決まっていた。小粒のらっきょうもまた酒悦とたいへんに相性がいい。スーパーには各種福神漬やら、各種らっきょうがあるが、どれも帯に短し、襷に長し で酒悦にはかなわない。カレーに選ばれるのはどうしても酒悦になる。
 カレーという単純な食べ物にはご飯の選択も大切だ。 ある時、親戚の娘からカレーのご飯は、山形のつや姫よと教えられ、以来レトルトのカレーにはチンする「つや姫」と決めている。
 つや姫に慣れてしまうと長野県産こしひかりのチンゴハンはとてもたべられない。長野県人は米の美味さを知らないのか、とさえ思ってしまう。

 軽井沢に棲んでいると田舎だから美味いものに飢えていることだろうと、親切な友人たちがいろいろと気をつかってくれる。
 ひところは新潟の加島屋さんがとても多かった。器のやや大ぶりなのもよく、日本海の海の幸がぎっしりと詰まって、瓶を開ける楽しみがあった。

 「舌代」御はんにまぶしてお召し上りください 又その上に焙じ番茶をそそぎお茶漬の味もおよろしゆう御座います 東京吉兆    
 舌代というのはいまでは死語なのかもしれないが、こんな口上とともに贈られてきたご飯の友は嬉しい。丹波くろまめ、紅鮭茶漬、こんぶ、さざ波山椒煮、和牛赤ワイン煮、ひき肉まさご煮、ずらり並んだごはんの友はひとりにやにやとして嬉しい。
 さあ今夜は東京都木挽町御料理調進所吉兆に敬意を表し、つや姫を炊いて食さん。

posted by Kazuhiko Hoshino at 18:07| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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