
江戸っ子にとって、川柳というのは俳句より、詩歌よりも大切なものだ。
俳句の風流も詩歌の風雅も上流階級に愛されたもので、火事と喧嘩が大好きな町衆にとっては、言いっ放し、笑いっ放しの川柳こそが、江戸っ子の粋に通じた。
ことしも第一生命のサラリーマン川柳が発表された。
公式の入選順位ではなく、ベスト100選からマイ・ベストテンを選んでみた。
第一位 / メルカリで 妻が売るのは 俺のもの 島根のぼん太
第二位 / 手紙書き 漢字忘れて スマホ打ち 忘却の人
第三位 / 新人の 名前が読めぬ 時代来た 真珠2シ
第四位 / ご馳走を インスタ用に 作る妻 なるほど
第五位 / 家にいて 娘と会話 ラインにて
第六位 / 見える化を したのに見えない 小さい字 リオカ
第七位 / いい数字 出るまで測る 血圧計 とん吉
第八位 / よく切れる スマホの電池 うちの妻 みら
第九位 / 切った後 価値が上がった 株と彼 しーちゃんのぱ
第十位 / 母強し いいえ女性は 皆強し 人生
サラ川には人の世の悲しさが漂っている。それでも笑って過ごす江戸っ子である。