2020年08月15日

おいしい浮世絵

美味しい浮世絵.jpg

「おいしい浮世絵展」が六本木で開かれている。
 浮世絵という庶民のための版画だから、そこに「おいしい」シーンが描かれていて当然だが、いままで「おいしい」視点で集められた版画展をしらない。
 つい最近も今様のフライパンをふつて無国籍料理をつくつているバッチリメークのお姐さんが、「キッチン・アーチスト」と呼ばれていることに驚いた。「アーチスト」というのは、絵画、彫刻などの名人上手に捧げる敬称とおもっていたが、最近ではコックや美容師までもアーチストと称するようになった。
 浮世絵の凄いのは、彼らにはアーチストなどという気負いはなく、市井の絵師として版元の要求に応じ、日々の暮らしのすべとして絵を描いていたことだ。

 三代豊国の「見立源氏はなの宴」には花見のはなやかな料理が広げられている。
 国芳の「縞揃女弁慶 松の鮨」には美味そうな寿司が描かれ、
 北斎漫画十二編には鰻がダイナミックに描かれ、
 江戸っ子にとっての食は、鮨、蕎麦、鰻、天ぷら であることが再認識される。
 両国柳橋の広重描くところの河内屋には、大川の風景共々江戸の料理屋の豊かな文化がよみとれる。

 「季節のたのしみと食」「にぎわう江戸の食卓」「江戸の名店」「旅と名物」と四部に分かれた展示も判りやすく、難解なモダンアートの展覧などよりはるかにリアルな「おいしい浮世絵展」になっている。
 「おいしい」「マイウ」とテレビに氾濫するグルメ番組に時をつかうより、はるかに貴重な時間の流れている「おいしい浮世絵展」であった。
posted by Kazuhiko Hoshino at 14:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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